マンションの受水槽ポンプが故障し、半日以上の断水を経験した際の話です。朝、顔を洗おうとして蛇口を回した瞬間に、乾いた音とともに水が止まりました。日常生活において水が当たり前にあることの有り難さを、失って初めて痛感した瞬間でした。特に深刻だったのはトイレです。家族四人が暮らす我が家では、数時間もすれば誰かが必ずトイレに行きたくなります。幸い、我が家には災害用として二リットルのペットボトルに入った水が数ダース備蓄されていましたが、それをトイレの洗浄に使うとなると、想像以上の量が必要になることに驚きました。最初の一人が用を足した後、ネットで調べた通りにペットボトルの水を便器に流し込んでみましたが、なかなか一回では綺麗に流れてくれません。チョロチョロと少しずつ注いでも水位が上がるだけで、奥の排水路へ押し流すエネルギーが生まれないのです。失敗を繰り返し、三本目のボトルを空にしたところでようやく、高い位置から一気に流し込むというコツを掴みました。ドボドボと音を立てて水が吸い込まれていく様子を見て、ようやく安堵したのを覚えています。この経験から学んだのは、飲料水としての備蓄だけでなく、生活用水としての水の確保がどれほど重要かということです。ペットボトルの水は口にするだけでなく、私たちの衛生環境を守るための最後の砦となります。断水生活の後半では、節約のために一度の小用では流さず、数回分まとめてから流すという選択も考えましたが、臭いや衛生面を考えるとやはりその都度流したいものです。しかしそのためには、圧倒的な量の水が必要です。その後、私は空になったペットボトルを捨てずに、水道水を入れてベランダやトイレの隅に保管する習慣をつけました。これなら飲料水を無駄にすることなく、万が一の際のトイレ用として活用できます。また、水の勢いをつけるためにはペットボトルを逆さまにして振るように出すなどの技術も身につけました。災害はいつやってくるか分かりません。あの時、ペットボトルの水がなかったらと思うとゾッとします。事前の備えと、それを最大限に活かす知識こそが、不自由な生活を乗り切るための唯一の武器になるのだと確信しています。
突然の断水で学んだトイレ対策とペットボトルの重要性