もし今、大きな地震や事故で水道が止まったとしたら、あなたの家には何日分の水がありますか。多くの自治体では一人一日三リットルの飲料水備蓄を推奨していますが、これはあくまで飲むための水であり、トイレや洗濯といった生活用水は含まれていません。特にトイレは一日に何度も使用するものであり、そのたびにペットボトルの水を消費していくと、あっという間に備蓄が底をついてしまいます。断水時のトイレ対策として最も有効なのは、普段から風呂の残り湯を貯めておくことですが、マンションの構造や季節によってはそれが難しい場合もあります。そこで見直したいのが、ペットボトルによる水の管理術です。トイレを流すための水は、必ずしも市販のミネラルウォーターである必要はありません。空になったペットボトルに水道水を詰め、トイレの個室内に並べておくだけで、立派な非常用生活用水になります。これを流す際のコツは、水の配分にあります。まず、一気に流し込むためのメインの水として二リットルボトルを三本用意します。そして、流した後に便器内の水位を調整し、下水からの臭気を遮断するための封水を作るための仕上げ用水として五百ミリリットル程度のボトルを一本用意するのが理想的です。トイレの構造上、一気に流した後は便器内の水が少なくなってしまい、そのままでは下水道の悪臭や害虫が室内に侵入してくる原因になります。そのため、流し終わった後に少量の水を足して、トラップ部分を水で満たすことを忘れないでください。また、ペットボトルのキャップを閉めたまま保管しておけば、水が腐敗するのを遅らせることができ、掃除用としても重宝します。さらに、流し方の工夫として、ペットボトルの口を少し潰して平たくすることで、散水板のような役割を持たせ、便器内を洗い流しながら注ぐことも可能です。断水という極限状態では、一滴の水も無駄にできません。効率よく、かつ確実に汚物を処理するためには、事前のシミュレーションが不可欠です。ペットボトルをただの容器として見るのではなく、トイレを機能させるための重要な装置の一部として捉え、その使い方を家族全員で共有しておくことが、災害時のパニックを防ぐ第一歩となります。
断水時に備えるペットボトル備蓄とトイレの流し方のコツ