長年、街の水道屋さんとして数多くのトイレトラブルを解決してきたベテラン技師の方に、トイレタンクに水がたまらなくなる原因についてインタビューを行いました。技師の方は、このトラブルには大きく分けて二つのパターンがあると教えてくれました。一つは「給水そのものが止まっている場合」、もう一つは「給水されているのに漏れ出している場合」です。まず給水が止まる原因として最も多いのは、ボールタップの不具合だそうです。特に最近の住宅では、昔ながらの大きなプラスチックの球ではなく、小さな円筒状の浮きを使うタイプが増えていますが、これらはゴミの混入に非常に弱いという特徴があります。水道管の工事や古い配管からのサビが少しでも詰まると、繊細な弁が動かなくなってしまうのです。また、冬場には意外な原因として「凍結」も挙げられました。屋外に露出している配管が凍ることで、タンクへの供給が物理的に断たれることがあります。次に、水は出ているのにたまらないというパターンですが、これはタンクの底にあるゴム製のフロートバルブの寿命がほとんどだと言います。ゴムは長年水に浸かっているとふやけたり、表面が溶け出したりして、密閉性が失われます。指で触って黒い色がつくようであれば、それはもう交換時期のサインです。技師の方が強調していたのは、お客様自身が良かれと思って行った対策が、逆に故障を招いているケースが少なくないという点です。例えば、タンクの中に入れるタイプの洗浄剤は、その成分がゴムパッキンを急速に劣化させたり、固形物が溶け残って弁に挟まったりすることがあるそうです。また、タンクの中にペットボトルやレンガを入れて節水する方法も、内部の精密な動作を妨げる原因になるため、プロの視点からは絶対にお勧めできないとのことでした。もし自宅で水がたまらないという状況になったら、まずは止水栓を無理に回そうとせず、タンクの中を覗いて「浮き球が下がっているか」「水がどこから出ているか」を観察することが大切だそうです。無理に力を加えると、陶器のタンクを割ってしまったり、配管を折ってしまったりして、かえって被害を大きくしてしまうこともあるからです。プロのアドバイスとして最後に、十年を過ぎたトイレは一度専門家に全体的な点検を依頼することで、突然水が止まらなくなるといった最悪の事態を回避でき、結果的に修理費用も安く抑えられるという言葉が非常に印象的でした。
水道修理のプロに聞いたトイレタンクに水がたまらない理由