水道管の破裂と聞くと、多くの人は冬の「凍結」を思い浮かべるでしょう。しかし、季節を問わず、私たちの足元や壁の中で静かに進行し、ある日突然、深刻な被害をもたらすもう一つの大きな原因があります。それが、水道管の「老朽化」です。特に、築年数が二十年以上経過している家では、この目に見えないリスクが現実的なものとなります。 なぜ、長年使われた水道管は破裂しやすくなるのでしょうか。その原因は、水道管の素材と経年劣化にあります。かつて主流だった亜鉛めっき鋼管(鉄管)は、約十五年から二十年で寿命を迎えると言われています。内部から徐々に錆が進行し、管の壁が薄くなることで、日々の水道の圧力に耐えきれなくなり、ある日突然、亀裂が入ったり、破裂したりするのです。朝一番に蛇口から赤茶色の水が出るのは、この錆が水に混じりだしている典型的なサインであり、非常に危険な兆候と言えます。 銅管や塩ビ管は鉄管に比べて長寿命ですが、それでも永遠ではありません。銅管は腐食によってピンホールと呼ばれる針で開けたような小さな穴が開き、じわじわと水漏れを起こすことがあります。塩ビ管は錆びませんが、紫外線や衝撃に弱く、配管を繋ぐ接着剤が劣化することで、接続部分から水漏れを起こすことがあります。 老朽化による水道管の破裂は、冬の凍結と違って、明確な予防策が取りにくいのが厄介な点です。気づいた時には、壁の中や床下が水浸しになっていた、というケースも少なくありません。もし、原因不明の水道料金の急増、壁や天井のシミ、蛇口からの水の出が悪くなるといったサインが見られたら、それは配管の老朽化が限界に達している可能性を示唆しています。 老朽化した水道管に対する根本的な解決策は、残念ながら「配管の交換(更新工事)」しかありません。費用は高額になりますが、水道管が破裂した際の建物や家財への被害、階下への水漏れによる損害賠償などを考えれば、計画的に配管を新しくする方が、結果的に安くつく場合も多いのです。 家の築年数と共に、水道管も年を取ります。その寿命を意識し、適切な時期に専門家による点検や更新を検討することが、未来の深刻なトラブルを防ぐための最も確実な投資と言えるでしょう。
築年数が古い家は要注意!忍び寄る水道管破裂のリスク