「今月の水道代、いつもより高い気がするんだけど…?」検針票を見て首をかしげる。家族の使用状況を考えても、特に水を多く使った覚えはない。まさか、と心の中で疑問符を浮かべながら、家中の水回りをチェックし始めた。すると、キッチンの蛇口から、本当にごくわずかな水滴が、規則正しく「ポタッ、ポタッ」と落ちていることに気がついた。以前から薄々気づいてはいたが、「これくらいなら大したことないだろう」と放置していたその水漏れ。しかし、今回の水道代の件で、もしかしたらこの小さな水漏れが原因なのではないか、という疑念が頭をもたげてきた。調べてみると、驚くべき事実が判明した。一秒に一滴のペースで水が漏れた場合、一日で約20リットル、一ヶ月で約600リットルもの水が無駄になるというのだ。これは、お風呂一回分に相当する水量である。さらに、自治体によっては使用量が増えるごとに単価が上がる料金体系を採用しているため、無駄に消費された水量が、請求額をさらに押し上げている可能性もあるという。私の家の蛇口は、ハンドルを完全に閉めてもポタポタと漏れるタイプだったので、おそらく内部のコマパッキンの劣化が原因だろう。すぐにホームセンターへ走り、適合するパッキンを購入。水道の元栓を閉め、YouTubeの動画を参考にしながら、恐る恐る蛇口を分解し、劣化したパッキンを交換した。作業自体は30分もかからずに完了。元栓を開けて蛇口をひねると、もう水は一滴も漏れていない。ピタッと止まるようになった。翌月の水道代の検針票が届いた時、以前の金額に戻っているのを確認し、心底安堵した。あの小さなポタポタが、知らず知らずのうちに家計を蝕んでいたのだと、改めて恐ろしくなった出来事だった。