楽しい旅行から帰宅し、玄関のドアを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは水浸しになった我が家。これは、想像しうる中でも最悪の悪夢の一つです。長期間家を留守にしている間の水道管破裂は、発見が遅れるために被害が甚大になりがちです。しかし、この悲劇は、出発前のわずかな手間で、そのリスクを大幅に減らすことができます。 旅行中の水道管破裂を防ぐための最も確実で効果的な方法は、家全体の水の供給を元から断ってしまうことです。その鍵を握るのが、屋外にある水道の「止水栓(元栓)」です。戸建てなら敷地内の地面にあるメーターボックスの中、マンションなら玄関横のパイプスペースの中にあります。出発前に、この止水栓を時計回りにゆっくりと回して閉めておけば、万が一、留守中に宅内の配管や蛇口が破損しても、水が流れ出すことはありません。これが、究極のリスク管理です。 特に、冬場に旅行へ出かける際は、凍結による破裂のリスクが加わるため、この止水栓を閉める作業は必須と言っても良いでしょう。気温が氷点下になる可能性がある場合は、止水栓を閉めた上で、さらに家の中の蛇口を少し開け、管内に残った水を排出しておく「水抜き」を行っておくと、より万全です。 ただし、止水栓を閉める際には、いくつか注意点があります。まず、一部の温水洗浄便座や全自動製氷機付きの冷蔵庫などは、断水状態が続くとエラーを起こす可能性があるため、これらの電化製品の電源も切っておくのが望ましいです。また、帰宅後にすぐに水が使えないという不便さも考慮しておく必要があります。 もし、止水栓を閉めるのが難しい、あるいは数日の短期旅行でそこまでするのは大げさだと感じる場合は、せめて給湯器の元栓だけでも閉めておくことをお勧めします。給湯器は複雑な構造を持つため、水漏れトラブルが起きやすい設備の一つだからです。 旅行前の準備は、荷造りや旅程の確認だけではありません。家の安全を確認することも、旅を心から楽しむための重要なプロセスです。出発前のわずか数分のひと手間が、帰宅後の絶望を防ぐための、最も確実な保険となるのです。
旅行中の水道管破裂!悲劇を防ぐための備え