地中に埋設された水道管からの水漏れは、表面に現れないがゆえに「沈黙の漏れ」とも呼ばれ、気づかないうちに深刻な問題を引き起こすことがあります。この種の漏水における「費用」は、単なる修理費だけでなく、様々な側面から考える必要があります。まず、検出費用です。地中という見えない場所で発生する水漏れは、その箇所を特定するのが非常に困難です。専門の業者は、漏水探知機(音聴棒、ガス探知機、音波探知機など)を用いて、地中の微かな水の音や成分の変化を検知し、漏水箇所を特定します。この探知作業自体に数万円から数十万円の費用が発生することがあります。次に、修理費用です。漏水箇所が特定された後、地面を掘り起こし、損傷した配管の修理または交換が行われます。修理範囲や配管の種類(塩ビ管、金属管など)、地盤の状態(アスファルト、コンクリート、庭など)、掘削の深度によって費用は大きく変動します。部分的な補修であれば数万円から、広範囲な管の交換や特殊な場所での作業となると数十万円、場合によっては百万円を超えることもあります。そして、最も見過ごされがちなのが、無駄になった水道代です。水漏れが長期間続いている場合、通常の使用量をはるかに超える水道料金が請求されます。多くの自治体では漏水減額制度がありますが、申請には修理証明書などが必要であり、全額が免除されるわけではありません。漏水の程度によっては、減額後もかなりの金額を支払うことになります。さらに、二次被害による費用も考慮しなければなりません。地中での水漏れが長く続くと、建物の基礎を弱めたり、地盤沈下を引き起こしたりする可能性があります。庭の景観が損なわれたり、アスファルトやコンクリートの修復が必要になったりすることもあります。これらの修復費用は、漏水修理費用とは別に発生する可能性があります。地中水道管の水漏れは、発見から修理、そしてその後の費用の問題まで、多くの負担を伴います。そのため、定期的な点検と、異常を早期に察知する意識が非常に重要となります。